• 平井呈一編訳『怪談の愉しみ』上巻
     エルクマン=シャトリアン「見えない眼」てのが、江戸川乱歩の某短編に激似。
     乱歩先生は本当に怪奇幻想が好きだなあ。
  • 吉田戦車『酢屋の銀次』
     吉田戦車の短編は、時々、記憶の片隅にへばりつくような、忘れがたい読後感を残すものがある。
     不器用な愛情のもたらす恐怖と不快感を描いた表題作「酢屋の銀次」もそうだし、殺伐とした日常が不思議と心地好い「ひょうの道」、民話風傑作怪物退治譚「ぐるぐる円」、SFスポーツ譚「少女剣士」など、読みながら「ああ、これこれ」と懐かしくなった。
     特に「ひょうの道」と「ぐるぐる円」は海外幻想小説の香りが漂い、個人的に偏愛する。

酢屋の銀次 (白泉社文庫)

酢屋の銀次 (白泉社文庫)